「個人の対応力」任せにしない
なぜ今、院内に「対話のスキル」が必要なのか?
開発者紹介
- 和田 仁孝氏 (早稲田大学名誉教授、日本医療メディエーター協会代表理事)

『医療コンフリクト・マネジメントセミナー』のねらいや医療メディエーターの重要性、そしてプログラムの最大の特長である「ロールプレイ」へのこだわりについて、開発者である和田仁孝先生にお話を伺いました。
「頭での理解」を「現場で動ける身体」に変える――なぜロールプレイにこだわるのか?
- セミナーでは、ロールプレイによるメディエーションの実践を重視されていますが、その理由を教えてください。
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そもそも「スキル」という言葉は、単なるテクニックではなく、「身体に完全に身についたもの」を指します。 たとえば、子どもの頃に自転車に乗る練習をしたときのことを思い出してください。最初は「右足を踏み込んで、重心をこうして……」と頭で考えながらやりますが、一度乗れるようになれば、もう何も考えずに乗れますよね。このように、技を極めたときには、技を使っていること自体すら意識しなくなる。これがスキルの概念です。
- 「無意識にできるレベル」になって、初めてスキルと言えるのですね。
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そうなんです。セミナーでメディエーションの理屈やヒントを勉強すれば、頭ではみんな「なるほど」と理解してくれます。しかし、頭で理解しているだけでは、いざ臨床の現場で怒っている患者さんを目の前にすると、絶対に言葉が出ないんです。 だからこそ、アメリカでもそうですが、メディエーションの研修は「エデュケーション(座学)」ではなく「トレーニング(訓練)」と呼ばれます。スポーツや自転車の練習と同じです。ロールプレイという実技の中で、実際に患者役から言葉を投げかけられ、どう対応するかを泥臭くやってみることで、初めて「体感的に」スキルを身につけていくことができるのです。これが、ロールプレイがないと絶対にダメな理由です。
現場職員・管理職・病院の全スタッフに有益なメディエーションスキル
- 和田先生は、どのような方に本セミナーを受講してもらいたいと考えていますか。
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受講をおすすめしたい対象として、大きく3つのフェーズ(広がり)があると考えています。 まず第1フェーズは、日常的なクレーム対応や医療事故後の患者さん・ご家族への対応を行っている現場の職員の方々です。
- 第2フェーズはどのような方でしょうか。
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看護師長や診療科の課長を務める医師といった「管理職」の方々です。病棟や診療科でちょっとした患者さんからのクレームがあった際、本格的なトラブル対応部署に引き継ぐ前段階で、話を丁寧に聴きながら収めていく。そのプロセスにおいて、メディエーションスキルは非常に役立ちます。さらに、これはイギリスなどでも取り入れられている考え方なのですが、管理職がメディエーションを学ぶことは、対患者さんだけでなく、「部下同士の人間関係」や「自分と部下との関係性」を調整するための管理職スキルとしても非常に有用なんですよ。日常の院内の人間関係の調整にも使えるため、管理職の方にはぜひ受けていただきたいですね。
- 患者さんへの対応だけではなく、職場の人間関係の調整にも役立つのですね。それでは、最後の第3フェーズは?
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さらに幅を広げて「病院のスタッフ全員(一般スタッフ)」です。医療従事者のみなさんは日々患者さんと接していると思いますが、別に患者さんが最初から怒っていなくても、こちら側の「言い方ひとつ」でクレームを引き起こしてしまうこともあれば、逆にコミュニケーションの取り方次第でそれを予防することもできます。 このコンフリクトマネジメントスキルは、トラブルが起きたあとにどう対処するかだけでなく、「日常的なコミュニケーションの質を上げることで、そもそもトラブルを減らす」という予防的な効果を持っています。ですから、日常の関係構築という意味で、すべての一般スタッフにとっても非常に有益なスキルなのです。
さらに、「日常の予防的コミュニケーション」という観点では、医師こそ最も重要な存在です。 実際、私がいろんな病院へ講演に行くと、医師から「こんなスキルがあるなら、もっと早く勉強しておけばよかった」という反応をとても多くいただきます。日々の患者対応におけるトラブル予防スキルとして、医師のみなさんにはぜひ受講していただきたいと考えています。

実際のセミナーの様子
厳選されたトレーナー陣が受講者をサポート
- トレーナー(講師)の方々は、どのようなプロセスを経て教壇に立たれているのでしょうか。
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トレーナーの職種は、医師、看護師、事務職、ソーシャルワーカーなど多種多様です。まず大前提として、「メディエーションをもっと勉強したい」という強い熱意や意欲があること。そして具体的な要件として、医療メディエーター協会が定める16講座をすべて受講していること、そして何より現場での豊富な実務経験があることが必須です。これらをクリアした人の中から、適性を見極め、専門のトレーニングを積んでもらいます。こうした経緯を経て、ようやくトレーナーとして教壇に立つことができます。非常に丁寧なプロセスを経て育てられた、厳選されたメンバーです。
院内に「共通の言語」で話せる仲間を作り、現場の環境を改善していく
- 過去の受講者から、「院内に共通言語で話せる、相談できる仲間がほしい」という声をよくいただきます。実際、同僚や上司からの紹介で受講される方が多いのですが、現場での「仲間作り」についてはどう思われますか。
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まさにその通りで、とても重要なポイントです。受講した方が自分の現場で学びを活かし、周囲に広めていくこと。そして院内に「共通の言語」を持つ仲間を増やしていくことこそが、トラブルが発生した際にも関係性が崩れにくい強固な組織を作り、結果として医療現場全体の環境改善に大きくつながっていくと考えています。
楽しくあっという間に学べる2日間
- それでは最後に、受講を検討されている医療従事者のみなさんへ、和田先生からメッセージをお願いいたします。
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このセミナーは、重大な事故対応やハードなクレーム対応のためだけのものではありません。みなさんが日々の現場で直面する、患者さんへの対応やスタッフ間のコミュニケーションをより円滑にするための、実践的な力を学ぶ場です。「2日間のセミナーで、しかもロールプレイがある」と聞くと、身構えてしまったり、「緊張するな、難しそうだな」と不安に思う方もいるかもしれません。しかし、実際のカリキュラムは、様々なワークやロールプレイを交えながら、本当に「楽しく」進んでいく設計になっています。受講されたみなさんからは「思ったよりもあっという間に2日間が過ぎた!」という声をいただきます。 決して大きな負担感はありませんので、リラックスして、「楽しい研修なんだ」ということを念頭に置いて、ぜひ一歩を踏み出して受講していただけると嬉しいです。