• テクニカルスキル
  • 2024/09/27
  • オンライン

初歩から学べる IRのためのデータ分析入門

大学が、今日の厳しい環境変化を生き残り、今後さらなる継続的な発展をし続けていくためには、内外の情報を調査・収集・分析し、それら「エビデンス」を参考に、経験知も絡めながら適切なアクションを取っていく・・・いわゆるPDCAサイクルを組織的に回していく必要があります。

今日俄にその必要性が叫ばれているIR(インスティテューショナル・リサーチ)は、まさにPDCAサイクルに欠かすことのできない、一連の情報収集・分析活動です。

しかしながら、各大学においては十分な「ヒト・モノ・カネ・時間」を確保できない状態のところも多く、かつデータを収集するための学内ルールの未整備や、大学におけるIRおよびIR担当者の不明確な役割、そして実質的な機能のための運用ノウハウの不在など、様々な課題が存在しています。他方、高等教育に関する基本的知識や文脈を必ずしも踏まえず、日本の実情を無視した根拠の乏しい「IRの押し売り」も横行しているという現状もあります。

【本セミナーの趣旨】
このような現状を踏まえ、本セミナーでは、以下のようなⅡ部構成による話題提供と演習を皆様に提供する予定です。

Ⅰ.IR概論編
① IRとはなにか:背景・目的・機能・現状・課題そして展望
「IR」なるものが我が国の大学において要請されるようになった背景、「IR」が内包する目的や機能、我が国におけるIRの現状と課題そして展望について、高等教育の専門知および講師の私見も交えながら解説を行います。
② 現場で奮闘するIRer:ある大学でのIRerの仕事の実態を、「生々しく」ご紹介することを通じて、IRおよびIRerの現実の一側面に親近感を持って頂くことを狙いとしています。

以上の内容を通じて本研修では、”お仕着せの”IRではなく、それぞれの大学のおかれた状況に応じた、(日本の)高等教育の歴史的経緯や研究蓄積に基づいた、「IR」の必要性を、皆様と一緒に端的に共有したいと存じております。

Ⅱ.IR実践編:皆がIRerたろう!―IR分析超入門
「時間が取れないけれども、IRの勘所だけでも押さえておきたい」
「資源が限られているけれども、IRってお高いソフトとかシステムとか必要なのでは」
「いきなりIRを担当しろと言われたけれども、どうすれば良いかわからない」
等々の“声ならぬ声”にお答えできるような、コンテンツをご用意いたしました。

① IRの中核的機能とも言える「データ分析の超初歩」に特化した内容を扱い、データ分析に対する親和性を高めることをめざします。具体的には無料ソフトのjamovi(https://www.jamovi.org/)を利用し、大学内に関する仮想データをもとに「データを見て、体感する」を実践していただきます。
※数年前から随時jamoviをお勧めしてまいりましたが、jamoviは機能がどんどん進化し、商用ソフトさえ凌駕しかねないものとなっております。是非そのすごさにも触れていただければと存じます。

高価なシステムを導入して,高度な分析をするのではなく,フリーソフトによってごく簡便なデータ分析およびレポーティング業務ができるようになること、お忙しい教職員が、短時間でIRのエッセンスに迫れることを目指しました。受講後には、受講者各々が自大学において何から取り組んでいくか、具体的なイメージを持ち帰っていただける内容です。

概要

プログラム

予定(変更の可能性があります)
0.イントロダクション
・講師自己紹介
・セミナーの目的・目標・手順

1.IRとは:IRの機能を概観する(60分)
1)IRを理解するために必要な基本知識
  ・日本の大学制度の本質と大学改革の経緯
  ・米国高等教育の歴史・背景・本質
2)IRの現状・課題そして展望

[休憩]15分程度

2.IRのためのデータ分析:入門編(80分)
1)フリーソフトjamoviの説明 (20分)
【概要】
・jamoviのダウンロード及びインストール手順
 ※クラウド版jamoviもあるので体験してもらう。
・基本的な使い方
 ※データの読込み
 ※簡単なデータの定義付けと加工方法
2)フリーソフトjamoviを用いたIR超基礎編(60分)
 ※「フリーソフトでここまでできるのか」を実感していただきます。
 ※データの可視化がもたらす魔術!そして学術的にも耐えられる!ビジュアル+数値のコラボによるIRを体感していただきます。
【概要】
・データの基本的傾向を把握する:ヒストグラム、棒グラフ、円グラフ、箱ひげ図等
 (見た目に拘り、見た目で理解し、且つ学術的に装ってみましょう!)
 ※併せて、統計数値の算出(平均、分散など)による把握/グラフから読み取れる内容の把握も行う。
・データの関連性を可視化する:散布図(いくつか異なる変数の組み合わせで実感してもらう)
 ※併せて、統計数値の算出(共分散、相関係数など)による把握/散布図から読み取れる傾向の把握も行う。
・質的データの関連性:「クロス表」による分析と傾向の把握
・分析結果を取りまとめてのレポーティング
(休憩)

3)仮想データを用いた演習編(60分)
【概要】
・参加者により、シミュレーションにより生成した仮想の大学のデータを用い、大学の置かれたシナリオに応じた分析を行い、レポーティングを行う。
(休憩)

3.質疑応答(30〜40分)

※以上休憩も含め4時間

*当日ご用意いただきたいこと*
jamoviは、公開されているサイトから無料でインストールできます。受講前までにご自身でインストールをしてご参加ください。
jamovi : https://www.jamovi.org/
※Jamovi Desktop の Solid 版をお勧めいたします。
※jamovi cloudの無料版も使用できますが、45分間の制限付き(idle=未使用時間5分)なのでご注意ください。

対象のめやす

IR担当の大学教職員、本テーマに関心のある大学教職員

※特に、「データ分析はやってみたいけど、私のような素人でもできるのだろうか」「時間が取れないけれども、IRの勘所だけでも押さえておきたい」「資源が限られているけれども、IRってお高いソフトとかシステムとか必要なのでは」「いきなりIRを担当しろと言われたけれども、どうすれば良いかわからない」と思っておられる職員の皆さん。

日時

2024/09/27(金)13:00~17:00

※申込受付期間 2024年2月1日(木)~2024年9月13日(金)17:00 締切

開催方法

オンライン開催

※本セミナーは、ウェブ会議システム(Zoomミーティングを予定)を使用して実施いたします。お申込みいただいた方には、セミナー開催の約1週間前に、当日参加用のURLをお送りいたします。
※カメラ・マイク機能付きのPCをインターネットに接続してご参加いただける環境が必要です。

受講料

【個人単位でお申込みの場合】14,300円(税込/一人あたり)

【大学(法人)単位で一括お申し込みの場合】申込タイプにより異なります。詳細はこちらをご確認ください。

定員

30名

講師
  • 村澤 昌崇(むらさわ まさたか)
  • 広島大学高等教育研究開発センター 副センター長/教授
  • プロフィール
    広島大学大学院博士課程後期を単位取得満了退学。広島大学大学教育研究センター助手,広島国際学院大学での講師を経て,2003年より広島大学高等教育研究開発センターに着任,2018年より副センター長を務める。博士(教育学)。専門は,高等教育論,教育社会学。特に高等教育の数量データを使った計量分析(規模・範囲の適正,構造と機能とその変容,組織・ガバナンス・経営行動・意思決定、改革の因果効果分析) に関心を持つ。著書は『大学と国家』など多数。日本教育社会学会理事、日本高等教育学会理事。

    研修講師としては、長年広島大学高等教育研究開発センターの夏の公開セミナーにて登壇し、最新の研究成果を高等教育の現状に即して紹介・解説を行っている他、2018年度からは、大学職員を対象としたIR研修、アセスメントポリシーや学習成果に関するFD研修も行っている。大学の経営・活動指標および計量分析に関して通暁している。
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